●  豊川妙厳寺の守り神 「(だきにしんてん) 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 むかしむかしのことです。
 みやこに寒厳義尹禅師というたいへんえらいおぼうさんがいました。そのころ 世の中はききんのため食べものがなく、その上に わるいびょう気がはやって、人びとはたいへんくるしんでいました。
「ほとけさまのお力で人びとをすくい、しあわせにしたいものだ。」
と、おぼうさんは考えました。それには、もっとほとけさまのおしえをべんきょうしなければなりません。
「よし。中国へいってほとけさまのおしえをべんきょうしよう。」
おぼうさんは、そう心にきめました。
 そして、波のあらい海をなん日もかかって、遠い中国へわたりました。
 おほうさんは、中国のたくさんのお寺をまわっていっしょうけんめいペんきょうしました。
 やがて、4年がすぎ、おぼうさんは日本へ帰ることになりました。
 海がおだやかなある日のことです。おぼうさんは、かんばんにでて海の風にあたりながら、はるか日本の空をながめていました。すると、青い海の上にふしぎなすがたをした神さまがあらわれました。おどろいたおぼうさんは、その神さまのすがたをじっと見つめました。
 神さまは、右手にもったいねのほをかたにかけ、左手に美しい玉をささげるようにもち、まっ白いきつねにまたがっています。
 神さまは、おぼうさんの方を見て、大きなこえでこうとなえました。
「オンシラバッタ ニリウンソワカ。− われは枳尼真天なり。ほとけの力で人びとをすくおうと思うなら、このじゅもんをとなえよ。かならずねがいがかなえられるであろう。」
 力のこもったこえでした。いいおわると、たちまちそのすがたはすうっと海のむこうへきえていってしまいました。
 おぼうさんは、日本に帰ってから海の上で見た枳尼真天のすがたを、ま心をこめてほりものにしました。そしてそれを守り神としてたいせつにおまつりしました。
「オンシラバッタ ニリウンソワカ。」
「オンシラバッタ ニリウンソワカ。」
 おぼうさんは枳尼真天に手をあわせて、まい日となえました。おでしさんたちも、いっしょにじゅもんをとなえました。
「オンシラバッタ ニリウンソワカ。」
「オンシラバッタ ニリウンソワカ。」
 じゅもんは人から人へと広がり、しだいに枳尼真天のしん者がふえていきました。そして、人びとは枳尼真天のごりやくによって、くるしみやかなしみからすくわれたということです。

とよかわのむかしばなし(豊川市小中学校社会科研究サークル発行)より引用


豊川閣妙厳寺

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