● 土の中から出た観音さま 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 むかしむかし、国府町の観音堂に400年ほどまえがらつたわるお話です。
 国府の村にふたりの地主さんがいました。 ひとりを弥兵衛さん、もうひとりを源三さんと言いました。 ふたりは はたらきもので大のなかよしでした。 道ろや 用水をなおしました。 村のためにしんけんにはたらいたので、村人たちからたいへんよろこばれていました。
 ある夜のことです。 弥兵衛さんは、明け方になってふしぎなゆめを見ました。 ほとけさまのようなやさしい顔をして、美しいころもをまとった人が、弥兵衛さんの前へあらわれたのです。 そしてしずかにいいました。
「わたしは天からのつかいの天童だ。 よく 聞くがよい。 東海道西がわの王入りのちかくに、まことになさけぶかいほとけさまがうまっている。
 それをほり出してお堂をたててまつるがよい。 村はますますさかえ、人びとは安心してくらすことができるであろう。」
 いいおわると天童のすがたはすうーっときえてしまいました。 弥兵衛さんはびっくりして目をさましました。
「これはふしぎなゆめだ。 源三さんにいおう。」
 朝になりました。 弥兵衛さんは源三さんの家に行き、明け方のゆめのことを話しました。
「これはふしぎなことだ。 わしもおまえさんとそっくりのゆめを見たんだ。」
「おお そうだったか。 ではこのゆめはほんとうのことかも知れない。 さっそくみんなに知らせなくては。」
 ふたりは、村人たちに知らせてまわりました。
「そんなばかなことがあるものか。」
村人たちはだれもしんじませんでした。
 ところが、お日さまが西の山にしずみ、あたりがうすぐらくなったころ、王入りのちかくのはたけから1すじの光がかがやきはじめたのです。
「なんという美しい光だろう。」
「見たこともないふしぎな光だ。」
「ゆめのおつげはうそではないぞ。」
と、村人たちはロぐちにいいました。
 村人たちはたいまつをたいて、ふしぎな光のでているあたりを一生けんめいほりました。 すると、土の中から小ゆぴほどの小さな金の観音さまがでてきました。 観音さまはからだ中から美しい光をだしていました。
「なんと お美しい観音さま。」
「なんと おやさしい観音さま。」
村人たちはおもわずりょう手を合わせて、観音さまをおがみました。
 弥兵衛さんと源三さんは、村人たちとカを合わせてりっばなお堂をたて、そこに 観音さまをおまつりしました。
 それから村はいっそうさかえたということです。

「とよかわのむかしばなし」(豊川市小中学校社会科研究サークル発行)より引用 

国府観音

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