●  焼け地蔵さま 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 むかし むかしの ことです。
 今にも雪がふり出しそうな、さむい冬の夜でした。
 白鳥の法雲寺にあるお地蔵さまから、青い炎がぼうっと立ちのぼっていました。
 さむい夜は、いつもこうなのです。 村人も寺のおしょうさんも、みんなこわがっていました。 それにこんな炎が立ちのぼっていては、いつ火事になるかわかりません。 人びとは、とても心配でした。
 「お地蔵さまは、何かをうらんでいるんだろうか。」
 「火事がおきないうちに、家のないところへうつそう。」
 みんなでそうだんして、お地蔵さまをよそへうつすことにしました。
 ある日のことです。
 村の太郎は、はが いたくなりました。 おかあさんがいくらくすりをつけてもひやしても、いたみはとまりません。 太郎はなくばかりです。 おかあさんはこまって しまって、
「もう、ほどけさまにおねがいするほかない。 そうだ。 青い炎がたちのぼるあのお地蔵さまにたのんでみよう。」
と、思いました。
 さっそく、あついおゆとおせんこうをもって、太郎をつれておねがいに行きました。
「どうかお地蔵さま。 この子のはをなおしてください。 お地蔵さまはお寒いでしょうから、なおしてくださったらずきんをさしあげます。 おねがいします。」
 すると、ふしぎなことに太郎のはのいたみは、すぐにとまってしまいました。 よろこんだおかあさんは、さっそく赤いずきんをつくりお地蔵さまにかぶせてあげました。

 こんどはとなりの千代が、おなかがいたいといいだしました。
「わたしもお地蔵さまにおねがいしてみよう。」
千代をおぶったおかあさんは、あついおゆとおせんこうをもって、お地蔵さまのところへいきました。
「どうか千代のおなかをなおしてください。 なおしてくださったら赤いはらまきをさしあげます。」
ふしぎなことに、おいのりしているうちに、千代のおなかはすっかりなおってしまいました。

 こんなはなしが村人たちの間につたわりました。 からだのどこかが悪くなると、村人たちはお地蔵さまにおねがいしました。 そして、なおしても らったおれいに、きものをつくってきせてあげました。 また、青い炎がのぼっているときは、村人たちがそろってあついおゆとおせんこうをさしあげました。

 こうしているうちに、青い灸も出なくなり、お地蔵さまは、いつも新しいずきんときものを身につけているようになりました。
 やがて、いつとはなく、このお地蔵さまを 「焼け地蔵さま」 とよふようになりました。

とよかわのむかしばなし(豊川市小中学校社会科研究グループ発行)より引用


法雲寺

焼け地蔵

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