● 猫石と猫おどりとお礼まいり 前のページへ戻る   HOMEへ戻る 

 「猫石」の伝説は、いつ頃の事かよくわかりませんが、昔、東上でお蚕を飼いはじめたころ、ねずみが沢山ふえて、お蚕を食い殺したことがたびたびありました。人々はこまって、
「猫の大好きなものはねずみだ。」
ということで、お宮様にある猫石にお願いをすると、不思議にもねずみは減りました。
「これは神様が聞いてくださって、悪いねずみを平らげてくださったのだなあー。」
とみんな喜んで、そのお礼に石を2つお宮様にお返ししました。その後ねずみがふえるときには、同じようにお宮様にお願いしたということです。
 猫おどりというのは、
「猫が自分の耳のうしろを手でなんべんもかくと、雨が降る。」
と言うことわざがもとになって行われた雨乞いの踊りです。
 江島の江村は、以前はわくぐり神社の氏子でありました。雨が降らないとき、江村の若者たちがわくぐり神社の前に大勢集まって、よつんばいになり、猫が耳のうしろをかくまねを繰り返していると、今まで照りつづいた天気がにわかに曇りだし、やがて大粒の雨が音をたてて降ってきました。これは若者たちが熱心に雨乞いをしたので、神様が聞いてくださったのです。
 今まで日照りつづきの田は、たちまち田植えがはじまり、畑では種まきがはじまり、本当にみんなは大喜びでした。若者たちが、百姓仕事にいかに一生懸命であったかは、猫おどりの踊りから想像することができます。
 次にわくぐり神社は、昔からお蚕と、お産の神様と言われています。
「お蚕さまがよく育ち、良いまゆができますように。」
とお願をかけ、そのおかげで立派なまゆが出来ると、お礼まいりに絹糸をまいたわくを神様にあげたものです。近頃は蚕を飼う人がほとんど無いので、このお礼まいりの様子を見ることができなくなりました。
 また、妊娠した人がお願をかけて、子どもが生まれると、お宮様にお礼まいりをしたものです。その時には、必ず小さな底の無い桶を神様にあげました。後には底無しの桶のかわりに、ソギで作った輪っぱを神様にあげるようになりました。ソギというのは、少し厚めの薄板のことです。この風習は、
「底のない桶やソギ作りの輪っぱは、物を入れるとすぐに通りぬけるように、お産が楽に、無事にできました。」
というお礼の気持ちをあらわしたものです。
 現在でもこの輪っぱのお礼まいりは行われています。大変めずらしい素朴な信心だと思います。

ふるさとの伝説 昔のはなし(宝飯郡一宮町発行)より引用


わくぐり神社

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