●  小僧松 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 むかし むかし、ある冬のタ方のこと、平尾村の山道をひとりのお寺の小僧さんが、よろよろとつえにすがって歩いていました。
「おおい 小僧さん。 どちらへ行くのかね。」
 とおりがかりの百姓が、声をかけました。
「となり村へ行きたいのですが、どの道を行ったらよいでしょうか。」
「この道を右へまがってどんどん行けばでられるさ。」
 いじわるな百姓は、わざとまちがった道をおしえました。
 夜になって、雪ちらちら降りだしました。
 つぎの朝、百が山へのぼって行くと、道ばたに小僧さんがたおれていました。 小僧さんの白い着物に、雪が重いほどつもっていました。
「わたしが、いじわるをしたばかりに、小僧さんに気の毒なことをしてしまった。 おゆるしくだされ。」
 百姓はふかくはんせいし、きのう道をきかれたところに、小僧さんをうめました。
「ひどいことをしたものだ。」
「かわいそうに。」
 村人たちも、たくさんあっまってきて、小僧さんをてあつくとむらいました。

 雪もすっかりとけて、春がやってきました。
百姓は1本の松の木を小僧さんの塚に植えました。 村人たちは、松に水をやり大切に育てました。 松はぐんぐん大きくなり、いつのまにか村一番の大木になりました。 村人たちは、この松の木を「小僧松」と呼ぶようになりました。
 小僧松は大きな枝をひろげて、近くをとおる人たちのよいみちしるべになりました。
 子どもをつれた母親がやってきました。
「かあちゃん、大きな松の木だね。」
「そうね。やすんでおべんとうでもたべていきましょうか。」
 山をのぼって行く人たちが、ここでひとやすみしたり、むこうの村からやってきた旅の商人が、重いにもつをおいて汗をふいたりしていきました。
 それから何年かたち、小僧松は枯れましたが、村人たちは、その木を、平尾の星野神社の天井をなおすときに使ったということです。

とよかわのむかしばなし(豊川市小中学校社会科研究サークル発行)より 


星野神社

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