●  音羽川のかっぱ 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 むかしむかし、音羽川の近くに油屋がありました。
 ある夏の夕方、油屋の吾作は、いつものように馬を川原へ連れて行きました。
「アオよ。きょうも1日ごくろうさん。 あついので油はこびもたいへんだ。」
 いつもならよろこんで川へはいる馬が、きょうは頭をよこにふり、いっこうにいうことをききません。
「おいおい、どうしただ。 せわをやかせるんじゃないよ。」
 やさしくいい聞かせてもだめでした。
 吾作は馬を川へむりにひきずりこもうとしました。 すると、馬はいきなりあばれだしました。 見ると、馬のしっぽにふしぎなものがぶらさがっています。そのふしぎなものは、大きな目で善作をにらみつけました。
「おい、おまえはなにもんだ。」
 吾作もまけずににらみつけてやると、
「おら かっぱだ。」
と いばっていいました。
「げぇっ、このやろう。 おらがの馬をどうするだ。 こら、はなせ、かっぱめ、はなせ。」
 吾作は大声でどなりながら、つなでかっぱをぴしりっとうちました。 けれども、かっぱは馬のしっぽにしがみついて、なかなかはなれようとしません。 吾作はかっぱをひっつかまえて家へ連れて行きました。
「なんでえ。 ちょっと馬のしっぽをひっぱっただけじゃないか。 それも もとはといえば、馬のやつが、おれの頭のさらの水をこぽしゃがったからさ。 ちょっとしかえしをしただけさ。」
 元気よくしゃべっていたかっばも、だんだんおとなしくなりました。
「あのう、頭のさらに水をいれてくれよ。」
「ようし、ちょっとまってろ。」
 すっかりしょげたかっぱを見て、吾作はかわいそうになりました。 さっそく、かっぱのさらに水をいれてやりました。 すると、かっぱは大そうよろこんで、
「ありがとう、吾作どん。 もういたずらをしないよ。」
と、元気よくくらやみの中に帰って行ざました。
 このことがあってから、
「この川にはかっぱがいる。」
「あれはかっぱ川だ。」
といううわさが広まっていきました。

 この「かっぱ川」が、いつのまにか「おっぱ川」になり、それから今の「音羽川」になったということです。

とよかわのむかしばなし(豊川市小中学校社会科研究サークル発行)より引用


音羽川の桜

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