● 新池の大蛇の墓 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 昔々、そのまた昔のできごとです。 伊奈の里に大雨が降り、大洪水で小橋を流し、堤が壊れ、ついに新池ができたそうです。 その後いつのまにかこの池に大蛇が住みつき人を害したそうです。
 この頃、新池の近くにまれに見る美しい娘が、両親と三人で住んでいました。 いつしか、娘はどこからともなくたびたび訪れる、背の高い立派な若者と仲良しになり、とうとうたいそうな恋仲となりました。
 男は住んでいるところや名前を聞いても言わず、また、両親に出会っても、挨拶することもなく、毎晩、娘の家に遊びに来るようになり、そのうちに娘に子どもができてしまいました。 両親は怒って針をチクリと男に刺し、さらに父親は逃げる男を追って新池まで来ましたが、見失ってしまい、しかたなく家に帰りました。
 それ以後、若者は姿を見せなくなりましたが、しばらくして、針の刺さった一匹の大蛇が新池で死んでいるのが見つかりました。 娘の両親は、若者を殺すつもりではなかったので、大変かわいそうなことをしてしまったと、大蛇の墓をつくって手厚く葬ってやりました。 しかし、娘の産んだ子どもの背中には、大蛇の掛樹と針の傷痕があったそうです。  

  「小坂井のむかし話」(小坂井町教育委員会発行)より

大蛇の墓

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