● でえだらぼうの股ずれ峠 前のページへ戻る   HOMEへ戻る 

 昔むかし、そりゃあ神代の時代のことだって。「でえだらぼう」と呼ばれる、雲を突くような大男がおっただげな。そいつあ、野に出ては作物を荒したり悪さばかりするもんでえ、村一番の嫌われ者だったそうだ。
 ある時、でえだらぼうは、何を思ったか、富士山をもっと高い山にしてやろうと、琵琶湖の土をモッコに入れると
「ウントコドッコイショツ。」
と天秤棒で担ってなあ、滋賀から静岡へと土を運ぶ途中で、多米峠(豊橋市多米町)を越えようとしただげな。
 でえだらぼうが峠をまたいだその時、ザザッと、どえらい音をたてて股をすってしまったげな。するってえと、山もまた、ドッドッドドドーとど凄い音を立て崩れ落ち、山頂が大きくへこんでしまっただげな。
 その時、田植えをしとった多米村の人んとうは、そりゃあ地震でも起きたかとびっくりこいて山の方を見たげな。そうしたら、どえらい大男が、どでっかいモッコを担って峠をまたぎ、知波田(湖西市知波田)の方へと消えて行ったげな。
 でえだらぼうが峠越えをしたあたりの山頂は、股ずれによって大きくへこんでしまったげな。
 そんな峠を、村人たちは、いつしか「股ずれ峠」と呼ぶようになったげな。
 また別名、「金たま峠」とも呼んだと言われておるだぞん。

「とよはしの民話」(豊橋市中央図書館) より引用 


多米峠

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