● 首なし地蔵さま 前のページへ戻る   HOMEへ戻る 

むかーし昔。 田原の殿様の弟で、三宅貞三郎という方は、少し乱暴がすぎたので、父の友信公からよく叱られたり、室にとじこめられたりしました。
「若さま、もうなさいませんよね。 さ、きょう作りましたおはぎ、召し上りませ。 あさが持ってきたことは、ないしょでございますよ。」
 侍女のおあさは19才、しんそこ貞三郎に親切でした。
「わかった。 あさのいうことなら、こんどこそ、悪さはしないから。」
 2人の仲のよいことがひろまると、
「けしからんぞ。」
「風紀をみだす、不屈者たちめが。」
 と2人は叱られて、おあさは実家へ帰されてしまいました。
 おあさがいなくなると、貞三郎はよけいおあさに会いたくて、夜、こっそり御殿をぬけだして、おあさに会いに行きました。 このことがみつかると、
「またまた、何という不謹慎なことを。」
「田原藩の士気が乱れているからだ。」
「見せしめのため、きびしい罰を。」
 お城の上役の人たちが話し合って、貞三郎は切腹、おあさも自害をいいわたされました。 貞三郎はさすが武士、りつばに切腹されました。 おあさは、
「私のおなかには、貞三郎さまのお子がいます。 どうかこのお子を産ませてくださいませ。 その上で自害を…。」
 とたのみましたが聞きいれられず、おあさのおじが、涙ながらに、
「あわれやおあさ、このわしを鬼と思へや。」
と叫んで、首をはねてしまいました。
2人は三宅家の墓地に葬られましたが、あまりにも可哀相にと、誰かがこのお地蔵さまを2人ならべてたてたとのこと。 でもいつのまにか首が落ちてしまうのだそうです。 今は誰かがつけてくださり、首はちゃんとついています。

「もと」ばあちゃんのおはなし(田原市教育委員会) より引用 


三宅家の墓地

首なし地蔵さま

一つ前へ戻る        HOMEへ戻る