● お殿様が建てた庚申堂 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 これからきびしい冬のくるという11月のころでした。
 新城のお殿様の菅沼定実という人が、馬に乗って領内の様子を見てまわっていたときのことです。間之町の四ッ谷というところまできますと、どうしたことか、馬がつつんと鼻をならして止まってしまい、どうしても動こうとしません。道ばたの松の木が枝ぶりのよい姿をみせて、道の上にかぶさるように立っています。お殿様は、なぜ馬が進まないのか不審に思われて、ふと頭を上げてごらんになりますと、松の木の上に大きな蛇がとぐろを巻いておりました。
「これはおかしいぞ。蛇は寒くなると、土の中へ入って、冬ごもりをするはずなのに、松の木にとぐろをまいているのは、どうしたわけだろう。」
と言って、お供の者に知らせようとしました。家老の今泉三郎右衛門だけにはすぐに、その蛇がわかりましたが、ほかの家来衆にはどうしても見えません。ただぽかんとしているばかりです。
「これは不思議なこともあるものだ。きょうは庚申の日だが、何かめでたいことのあるしるしかも知れない。」
とおっしゃって、お城にお帰りになりました。
 その後、お殿様は信心を新たにし、松の木の下にお堂をたて、庚申の石像を納めて秘仏にしたということです。
 これからここを間之町の庚申様といって、代々のお殿様や、家来、村人をはじめ、遠くの人々の信仰をあつめ、また、かずかずの寄進がありました。それから50年ほどたって、定易というお殿様が、お堂を再建して庚申寺というようになりました。
 今のお堂は、昭和52年の5月に新しく建てなおしたものです。

 新城昔ばなし 365話(新城市教育委員会発行) より引用 


庚申寺

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