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 昔、小畑にたいそう立派な兄妹がおったそうな。 なんにしても、そこらにいるような美男、美女とはわけがちがう。 とてつもなくきれいな兄妹だったそうじゃ。だから、2人に似合うような、よい結婚相手は見つからん。 兄の方は、どうせ嫁をもらうなら妹くらいの人をと心秘かに思い、妹の方も、どうせいくなら兄くらいの男の人をと考えていた。 こんな具合だから、いつまでたってもいい人が見つからん。
 「よし、それじゃ、日本全国を回って探してこようじゃないか。 そうすりゃ必ずいい人が見つかる。」 そう言って、2人は東と西に分かれて旅立って行ったそうだ。
 ところが、どこへいっても見あたらぬ。 よし、この人ならと思ってみるが妹よりは劣る。 きっと、もっといい人がいるにちがいないと思ってしまうからいけない。 妹の方も同じ思いである。 そうこうしているうちに、長い長い年月が過ぎ去ってしまった。
 ある時、風のたよりに、すばらしく美しし娘が婚相手を探しているという話が耳に入ってきた。 もう男はいてもたってもいられない。 すぐさま、娘に会いにとんでいき、一目見るなり気に入ってしまったそうじゃ。 娘の方もそうであった。 2人は互いに抱き合って、お前こそ日本一の娘だ。 あなたこそ日本一の婿さんだと言いながら、いつまでも離れなかった。
 しかし、その後で、よくよく話し合ってみると、なんとまあ、2人はもとの兄妹であったそうな。 兄妹で夫婦になったとは恥ずかしいと、2人は大変悔んだそうな。 でも、もうどうしようもない。
 それならば、せめて、自分たちの姿が少しでも見えないようにと、しばの葉を使って隠れていようと思ったそうな。 そして、道行く人にしばの棄をあげてもらい、なるべく姿をかくしてもらうようにしたんだそうな。 

新城 文化財案内(新城市教育委員会発行)より引用


小畑のさいの神

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