● 堂から消えた観音様 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 むかしのこと、相楽の丹野村の人が冬のある夜、いっせいに同じ夢を見たそうな。
 山の上の祠にまつってある御堂山の観音様が「わしは寒くてしかたがない。」とふるえている夢だった。夜が明けると、村中はこの夢で大騒ぎとなり、何はともあれお山に登り御堂の扉を開けてびっくりした。たしかこの間までおいでになった観音様がいらっしゃらない。さあー大変だと村人は山の中を観音様さがしをすることになった。しかし、なかなか見つからなかった。
 そんなころ、御堂山の観音様を信心している形原の壁谷某という老人が、朝早く砥神山を越えて御堂山へと急いでいると、とある草むらの中に大きな人が寝ているのを見つけたそうな。親切な人なので「もしもし、こんな所で寝ていると体に毒ですよ。」とゆり起したが、いっこうに返事がない。しょんぼりして目をこすりこすりよく見ると御堂山の観音様だった。肝をつぶした老人はころげるように山を小走りに走り御堂へかけ込んだ。
 ちょうど御堂には村人が集っていたので、ことの次第を話したが、これを聞いた村人は老人に感謝しながら観音様をお迎えに行った。お蔭で観音様は無事に御堂にお帰りになったとか。

西の郡の民話 ほんとのんほい より引用 


御堂山観音堂

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