● 金蔵防 前のページへ戻る   HOMEへ戻る

 西田川沿いに上がっていく、川を挟んで市民病院の反対側あたりに薬師寺がある。
 昔、この薬師寺に金蔵という山伏が住んでいたそうだ。 さまざまな修行を重ね、不思議なオーラをビンビンだしておった。
 ある時、汚いものを持って薬師寺の前を通ろうとしていた男の子が、
「わあ、急に足が動かんくなっちゃったよー」
「そこのぼうず何やっとるだん。 はー、そんな汚いもん持って薬師寺さんの前とおるとはなんちゅうもったいないことを! 南無南無! ほれわしの手につかまれ」
また、金蔵坊が護摩をたいてお祈りしている時、
「この前助けてくれたおじさん、見てみて! 海の沖を通る舟が帆をおろしとる」
「ほうじゃの− 見えるか?ぼうず、今漁師さんらは真言を唱えておるんだわ。 無事に通らせてもらえるようにな」
「おじさん、薬師寺さんの前に籠がかかると、いつも誰かが魚や野菜をいれるんだけど」
「村の者たちの気持ちなんじゃよ」
村の人たちはいつも不思議なオーラの金蔵坊を頼りにしていた。
ある時、金蔵坊が村の人に、
「わしはすでに化縁が尽きたから帰ることにするわ。 これから命ある限りほら貝を吹くが、ほら貝の音が途絶えたらわしに土をかぶせてくれ」
と頼んだ。
金蔵坊は自ら深い穴を掘り、定に入った。 その日以来幾日も村人たちは細く長く響くほら貝の音を聞いた。 しばらくして、音が消えた。 村人たちが穴へ行って見ると、金蔵坊はまるで生きているかのようにほら貝を持って座った状態で亡くなっていた。  それから、村では2月の初午の日に金蔵坊のお祭りをするようになった。

広報がまごおり(平成27年11月号)より引用 


金蔵防

薬師寺

一つ前へ戻る        HOMEへ戻る